講座レビュー:~多文化で考える減災・防災術~第2回「園・学校にいるときに大地震が起こったら・・」(2015.1.20)を開催しました

2014年度 男女共同参画センター南太田との協働事業地域出前講座「情報をつかんで生き残れ~多文化で考える減災・防災術」として学校法人横浜山手中華学園パンダ幼稚園の保護者を対象に地図を使ったワークショップと情報講座を行った。

園には幅広いエリアから様々な交通手段を利用してお子さんが通っている。いずれ小学校になると一人で通学するようになる我が子の安全を考え、「イザという時のためにも横浜の地理に詳しくなりたい」、「子どもが災害時に帰宅難民になる恐れがあるのでその際の避難方法やその時の行政の対応が知りたい」など、パンダ幼稚園PTA理事会のみなさんに事前に様々な要望をうかがい、協力いただきながらの開催となった。

はじめに:

横浜山手中華学園園長 黄偉初先生より挨拶がつぎのようにあった。

「日本は火山・地震の国であるということを忘すれてはいけない。最近みなさんは地震に対して慣れがでてきていないだろうか?650人の子どもたちを預かっている園長としては、ちょっとした揺れでも緊張がいつも走る。パンダ幼稚園は5年前に新校舎になり、耐震の新基準で作られた建物である。先週末、地域の避難訓練が行われ、約200人が避難場所となるこの建物に避難しにきた。今日の講座で防災・減災に対する意識を一人ひとりが高め、学んでほしい。」

続いてNPO法人シャーロックホームズ 理事の宮島真希子から本日のゴールの説明があった。

「今日みなさんは防災や減災について学びにきていらしゃっているかと思いますが、みなさんご自身の中に様々な知識や情報があります。お互いに持っている情報を伝え合う場にもしてください。更に今後の活動に活せるような発信方法については後の情報講座でお伝えしますが、講座が終わった後、今日の事をどんどん発信して活動を広めていってください。」

地図ワークショップ

「横浜に必ず来ると言われている大地震は、ちょうど一昨日で20年目を迎えた阪神淡路大震災に似た都市型大地震と言われていています。まず初めに阪神淡路大震災の映像いくつかご覧いれたいと思います」と鈴木光さんのワークショップが始まった。投影後、幼稚園がある中区で想定される地震の想定被害の説明があった。「中区は横浜市の中でも特に被害も多く、昼間に比べ夕方のほうが被害も大きくなります。また中区は1万6千人もの帰宅困難者が予想され、中区の区民のみならず、区外の人もたくさん避難してくるなどが特徴です。」

次に「横浜でも大地震が起きるのでしょうか?」と鈴木さんは参加者に問かけ続けた。「大正12年(1923年)9月1日の関東大震災マグネチュード7.9型の再来型が必ずくると言われています。それは今日かもしれないし、明日かもしれないし、10年後かもしれません。その備えの一つとして地図を使った災害イメージトレーニング:DIG(Disaster Imagination Game)を今日は紹介します。それではお手元にあるクリアファイルと中にある地図をご覧ください」と地図を使ったワークがスタート。A4のクリアファイルには帰宅困難者一時受け入れ滞在施設や広域避難所などがわかるハザードマップ7種類と「帰宅困難者一時滞在施設」リストがセットされている。これらのハザードマップは鈴木さんが「横浜市防災情報わいわい防災マップ」から予めダウンロードし今回の講座のニーズに合わせて特別に作成したもの。

まずはクリアファイルの一番上にある地図を見ながら幼稚園の場所と自宅(地図上に自宅がない方はそれに近いところや駅)をシールで印を付けて、鉄道や海岸線などをなぞった。どのような被害が予想されるのかを鈴木さんの解説を聞きながら、ハザードマップを順番に入れ替えながら必要に応じて更にマーキングをしながら「my減災マップ」作りをした。

それぞれのグループで話し合い、意見交換をしつつ和やかな雰囲気で作業はすすんだ。参加者の反応は以下のとおり:

ハザードマップに変えるたびに「わー!うちは真っ赤ゾーンだ!この地図みても真っ赤!!」という悲鳴や、「自分の住んでいるところが危険であることがわかったので、どのように避難するのかきちんと考えてみないと!」、「引っ越さないといけないかな?」、「どこに逃げたらいいのかな?」など。普段は口にできなかった不安や疑問をグループで共有。「なんとなくわかっていただけれど、怖くて避けていたが、地図をみながら確認作業をすすめていくうちに、我が子のためにもやはり向き合い・考えることは大切ですね。」とスタッフに話しかける参加者もいた。

「my減災マップ」作りが終わると、参加者に鈴木さんはクイズ形式で次の3つの質問をした。「今この瞬間に地震がおきたらどうするか?」、「家で地震がきたらどうするか?」、「登校・登園中に地震が起きたら、自分が子どもだと想定してどうするか?」。様々な回答に鈴木さんは別回答例も加えつつすすめた。

例えば1つ目の「今この瞬間に地震が起きたらどうするか?」の質問には「頭を守って机にもぐる」という参加者の回答に、鈴木さんは「光灯・ガラス窓などにも注意をしてくださいね」と付け加えていった。逆に参加者からも「エレベーターに閉じこもったらどうしたらいいですか?」という質問もあった。鈴木さんは「すべての階のボタンを押してください。」という答えに参加者はみなさん「なるほど」と納得。防災の専門家ならではの見解が聞けたことが印象的だったという感想を述べる方もいた。それぞれの質疑応答が終わると「間違った答えはなく、みなさんの答えはどれも正解です。イメージして考えることが大事です。」と解説した。

最後に「避難するということは必ずしもどこかの場所に行くことではありません。ご自宅でも十分に避難できます。今日の地図ワークを通じて考えたことを家族と普段から話し合うことが防災・減災にもつながります。」とイザという時に災害をやりすごす知恵を持ち、自分の命は自分で守るということを普段から考えることや備えることの大切さを伝え、鈴木さんの講座は終了した。

情報講座

まず講師の宮島さんは参加者に各自が今受けた地図講座を通じて、思ったこと・質問・疑問・自分が防災や減災に関してやってみたいことを紙に書きだしてもらった。そして書き出した後、宮島さんの座談が始まった。

「横浜市の最新の外国人登録者数は77,828人。中国人の登録者数は32,248人で国籍別では最も多いです。つまり、中国語で発信できるお母さん達の活動は、横浜の中国人・中国につながる市民の方々にとってもプラスになる活動です。さて、「登下校途中に子ども達がどこに、どのように避難すればいいのか」というような疑問や先ほど皆さんに記入していただいた今日の気づきはどうしていったらいいのでしょうか?」と宮島さんは参加者に問いかけ、続けた。

「本当に必要な情報を獲得していくには、『調べる』『つながる』『伝える=共有する』という3つのステップを繰り返して、いい循環を作っていくことです。

ステップ1では、知りたいことをまずリサーチします。例えばどこの行政のどの部署が関わっているのか具体的に調べます。そして関係先がわかったら次のステップとして、関係先の研究者やスペシャリストを、あるいは自分たちと同じ立場の人を招いて意見交換会をします。そして3つ目のステップは、例えば今日の講座をメディアに取材依頼をして取り上げてもらい地域に発信してもらいます。今日参加してくださっている参加者ご自身は、今日参加できなかった方たちに今日のことを伝えてください。そうするとその情報を聞いたご友人があるいは団体がその情報に興味を持ちます。そして彼らがまた『調べる・つながる・伝える』の3つのステップを繰り返します。

こうして何度も3つのステップを繰り返しいくことによってよい循環ができ、同じ思いの人が自然と広がっていきます。」とそれぞれのステップの具体的な例をあげながら、元新聞社の宮島さんならではの情報の取り方のポイントを伝授した。

更に「みなさんには私立幼稚園ならではの絆があります。その絆を力に変えて、幼稚園から小学校へ、地域へ、中国につながる人へと輪をどんどん広げていってください。今日のワークショップを、みなさんが防災・減災に関する学びの場を継続して、子どもたち・ご自身を守る知恵と知識を身につけるきっかけにしてほしいです。」と言い、宮島さんによる情報講座は終わった。

その他挨拶など:

・鈴木光さんから「わいわい防災マップ」の作り方の説明があった

・西消防署の黒田さまより挨拶

・南消防署予防課予防係の松永ゆり消防長より挨拶

女性や子どもからの視点の避難所生活とまた関連して防犯のお話しもあった。

・フォーラム南太田 関根さまより挨拶

一人ひとりが防災・減災の取組をどんどん発信して行ってほしい。

・パンダ幼稚園副会長 田中希久子さまより終わりの挨拶

今日勉強したことを今後も家長会で活かしていきたい。

アンケート記入: (今日の感想・印象に残ったことより)

・阪神淡路大震災の映像

・なんとなく身構えていたが、もっと真剣に考えなければと思った

・マップを使用し、どれだけの被災が起こり得るのか知ることができた。また、同じグループの方がどういったことに不安を抱いているのかしることを共有することができて良かった

・普段から災害について考えていないとすぐには判断できないと思った

・地図での災害時予想で、普段使う地域がほとんど危険区域だったこと。特に仕事場は予想では大変な状態になる

・南区の消防署の女性の方の話し。避難所での女性・子どもの行動(いたずらの被害に合わないように)

・都市部でも災害が発生し、本当に身近なところに危険がひそんでいるとあらためて思った

・情報は自分から取りに行くことが大切だというお話し

・今天让我们确认了避难场所和危险场所,是非常重要的知识和意识。我具体还想知道关于储备灾害用品具体内容和数量。(今日私たちに避難場所や危険箇所を確認させましたが、これはとても重要な知識と意味がありました。私はまだ具体的に備蓄災害用品の具体的な内容と量を知りたかったです。)

・エレベーターに閉じこもった時、各フロア(のボタン)を押すことが印象的だった

・我が家がどのような状況におかれているかが地図を通じて理解できました。

 

☆今回の講座はタウンニュース(中・西区版)に掲載されました!
☆男女共同参画センター横浜南(フォーラム南太田)のスタッフ日記2015年1月28日付で取り上げられました。

⇒第1回目講座「地震イマジネーションゲーム」(2014.11.10)についてはこちら

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