講座レビュー:~多文化で考える減災・防災術~第1回「地震イマジネーションゲーム」・「親子おしゃべりコーナー」(2014.11.10)を開催しました

2014年度 男女共同参画センター南太田との協働事業地域出前講座「情報をつかんで生き残れ、多文化で考える減災・防災術」として横浜市立日枝小学校放課後キッズクラブの児童を対象に「地図を使ったワークショップ」また親子対象の「おしゃべりコーナー」を行った。

前半のワークショップの参加者は28名(出入り自由)うち外国国籍につながる子どもたちの参加は6名。

第1部 ワークショップ:「地震イマジネーションゲーム」

はじめに:

「みんな私の真似をしてください!」と司会の宮島真希子さんは子どもたちに声をかけ、まずは身体ほぐしのアイスブレークから始まった。元気よく体をほぐし、深呼吸をして落ち着いたのち、宮島さんは今日のワークショップがタイトルのとおり、「ゲーム」であり、ゲームにはルールがつきものと、子どもたちに以下のように伝えた。

「今日は地震のことを勉強したい子が参加してください。一生懸命勉強したい子の邪魔は絶対しないでね。のどが乾いたりしたら水を飲みに行ってもいいし、途中で飽きてしまったら、お部屋を出て行っても大丈夫です。また来たくなったら戻ってきてもいいですよ。」と講座に自分の意思で参加してほしいことを伝えた。次に宮島さんは子どもたちに、「今日は地図を使ったゲームをします。たくさん考えて自分の意見を言えた子が勝ちです!地震のことを教えてくれる鈴木光先生のお話をよく聞いて、最後にクイズをだすのでそれに答えられるようにいっぱい勉強してください。」と宮島さんは今日の講座のルールを説明し、ワークショップ講師の鈴木光さんに代わった。

ワークショップ

「地震がきたらみんなならどうする?」という講師の鈴木ひかりさんの問いかけとそれに元気よく「はい!!」と手をあげる子どもたちでワークショップがスタートした。「みんな手をあげてえらいね。1人ひとりの意見を順番に聞いていくので待ってね。ではまず赤い洋服のあなたから」と順番に子どもたちの意見を鈴木さんは聞いた。

「かくれる」、「だれかに言う」、「にげる」などを中心とした発言に、「おへそをかくす」というかわいらしい回答もあった。

続いて鈴木さんは「講座のタイトルの『地震イマジネーションゲーム』のイマジネーションは何でしょう?」と訊ねた。「考えるということじゃない?」と即答した子に鈴木さんは、「正解!そうです。考える、想像することです。」と言い「すごいね!」と答えてくれた子をほめた。次に鈴木さんは都市型の震災を想定した映像を子どもたちに見せた。寝室でグラグラ揺れるタンスに子どもたちはキャーキャー声をあげ、今にも倒れそうな冷蔵庫の前に立つ女性のマネキンに「はやくにげてー」など叫んで大騒ぎ。ところが実際にあった大地震の映像に変わると、子どもたちは突然静まり返り、映像に見入っていた。「こわい・・」と言う女の子の様子をみて鈴木さんは「怖いならやめようか」と聞くと、「こわいけど、みたい」と言う声があちこちからあがったので、怖いと言った子が大丈夫だということを確認し、次の映像に切り替えた。そこで鈴木さんはその映像が何の地震なのか問いかけると、「阪神淡路!!」と、またまた即答が返ってきた。どうしてわかったのか理由を聞いてみると「テレビに1995年と書いてあったからわかった」ととてもするどい観察力。「まだ生まれていない時の出来事なのによく知っていたね」と鈴木さんは感心しながら、更に続けた。「阪神淡路大震災の時に、大きな地震が起きたあと次に何が起きたと思いますか?」と聞くと、「つなみ!」という答えがあった。「そうだね。津波は3年前の東日本大震災の時にきたよね。良く知っているね。でもこの阪神淡路大震災の時は・・・」と鈴木さんが言いかけると、「火事!!」と子どもたちの反応は常に積極的。「そのとおり!!大きな火事が起きました。そしてもし次に東京やみんなが住んでいる横浜に大きな地震がきたら、阪神淡路大震災の時のように大きな火事が起きると言われています」このように鈴木さんたちは常に子どもたちに考えることを促し、また答えを引き出しながら地震の解説を終え、地図のワークに移った。

地図のワークではまず、今いる場所(放課後キッズクラブ)・日枝小学校・駅の3か所を地図上にコマを建てるところから始まった。このコマは『自分の代わりのコマを動かしながら、大地震の時の対応や地域のこと知ることを遊び感覚的で伝えたい』(鈴木さんのFacebookのご自身のタイムラインより抜粋)という鈴木さんの思いがこもった手作りのもの。そしてこのコマを最初に動かしたのは、最近学校で勉強したばかりだから「(自分の家が)すぐわっかった」という3年生の子。3つの位置が決まると、一人ひとりの自宅にシールを貼る作業に移った。一つの地図に囲んで一度に全員で見るのは難しいので、2グループに分かれて行った。

自宅にシールを貼るグループの様子は次のとおり。「〇〇公園がここにあるから、うちはここ!」、「いつも学校からこの道をとおるからココ」、とすぐに貼る子もいれば、「~ちゃんの家は〇〇公園の近くだからここじゃない?」と迷っている子を助けてあげる子、なかなか自分の家がわからず泣きだす子、鈴木さんやスタッフと「〇〇というお店、〇〇というコンビニはおうちに近い?」などのやり取りしながら自宅にシールを貼っていく子。どの子も熱心に、地図上の自宅を探した。熱心なあまり机の上に乗りシールを貼ろうとする子もいた。

こうして25人が無事に自宅にシールを貼ることに成功!残念ながら見つけられなかった3名は、「今日家に帰ったら、おうちの人に住所を書いてもらって、次に放課後キッズクラブに来た時に地図上にシールを貼ってね」とメモを渡した。残念そうな顔をしつつも、地図にシールを貼ることができなかったが、メモを渡され納得しているようだった。

さて、地図上で自宅を探しているグループの裏で、残りのグループは、「教室で地震がおきたら、君ならどうする?」など子どもたちの身近な場所で地震が起きたらどうするかを考えるクイズを展開!ここでも子どもたちが手をあげて自分の答えを順番に発言し盛り上がった。3年生の女の子がクイズを出してリードしてくれる場面もあるなど、小学生の積極性がとても印象的。こういった力がイザという時の即戦力になるのだと、地域には頼もしい子どもたちがたくさんいるのだと感じるシーンをワークショップを通じて何回か目にすることができた。

自宅を貼った後には、地図を見てどのような道が安全なのか確認。はたして狭い道なのか、それとも大通りがいいのか、細い橋と幅が広い橋、どのような通りを選んだら安全なのかということを聞きながら、また放課後キッズクラブで地震が起きた時の「4つの大事なこと」(資料にジャンプ)を確認した。

まとめ:

地図のワークを終え、鈴木さんは「最後にクイズです!もし地震が起きたら、みんなはどこに行く?」と質問をした。「学校!」「キッズクラブ!!」と交互に答える子どもたち。「どうして?家に帰らないの?」と鈴木さんが再び質問すると、「家にかえっちゃダメ!!」・「おうちの人がしんぱいするから学校かキッズクラブに行くんだよ」という答えが返ってきました。この約束はしっかり覚えてくれたようだ。

「では2つ目のクイズ!!おうちの人に会って、帰る時には何と言いますか?」と質問すると、今まで勢いよく答えた子どもたちが静まり返った。子どもたちは今地震が起きて家の人と会って再会した嬉しさを想像(イメージ=イマジネーションゲーム)して、次のステップを忘れてしまったのか?「なんだっけ??」と間が続いたので、鈴木さんが「か・え・り・ま・す!」と言うと、「そうだ!そうだ!かえります!」だと一人が叫び、みんなも「かえります!」と続いた。

「これでみんなは大丈夫!今日はたくさん考えて、地震がきたらどうするかとイメージができたので、いつ大きな地震がきてもみんなはきちんと考えることができるね。自信をもってその時は行動してください。そして今日考えたことや覚えたことをおうちの人とお話してください。」と常にテンポのよい鈴木さんと子どもたちのやりとりが続いたワークショップは終了した。

アンケート記入:

(アンケートより抜粋)

今日の感想:

・またやりたい

・ちずがたのしかった

・こんどはすぐ家がさがせるようにがんばりたいです

・きょうはじしんのことがしれてよかったです。またおしえにきてください

・きょうさんかして思ったことは、じしんがきたら、とにかく自分をまもることが大切だと思いました

・ちょっとじしんのようすがこわかった

・じしんのことがきけてあんしんした

第2部 「親子おしゃべりコーナー」

第1部で使用した地図を放課後キッズクラブの玄関に貼り出し、お迎えにきた保護者にキッズクラブ中に開催された「地震イマジネーションゲーム」について簡単に説明。ワークショップで地図に自宅のシールを貼れなかった子は、お迎えにこられた保護者と一緒に家を探して貼った。講座に参加していない子でも、地図に興味を持ってくれたのでお迎えに来てくれた方と一緒に自宅となるシールを貼った。参加されたのは10組となった。防災に役立つ資料をお土産用にお持ち帰りいただいた。

今回の出前講座のターゲット層である外国国籍につながる女性には、お1人であったが、お話しを聞くことができた。その方は玄関に入るや否や、多言語資料を食い入るようにご覧になり、お子さんがワークショップで自宅を探せなかったので、自宅を親子で探すことができた。また「イマジネーションゲーム」を簡単に説明し、タガログ語の資料を渡し、ぜひ家で防災のことをお子さんと話し合ってくださいと伝えた。間接的ではあるが、地域と外国人女性をつなげるきっかけ作りができた。

講座を通じて日枝小学校放課後キッズクラブの運営スタッフと、イザという時に役立つルールを話合いながら、日本語のみならず多言語に翻訳したお約束カードを作成できたことも一つの成果となった。このカードをはじめとする資料を、当日来ることができなかった方や今後キッズクラブを利用する方に活用してもらい、防災・減災を意識してもらうことに役立ててもらいたい。

☆イザという時に役立つルールのカードはこちら

⇒第2回目講座「地図から知ろう!園・学校にいるときに大地震が起こったら・・」(2015.1.20)についてはこちら
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